今週の木曜日(2016年9月22日)、今年も総曲輪コレクションが開催されます。
総曲輪コレクションは富山県富山市で毎年9月(今年で4年目)に開催される北陸最大級のファッションショーです。
当社は第一回目から毎年ブライダルのファッションショーを担当させていただいています。
もう4年目なので主催者の方からは『今年もよろしく』というビジネス会話としては最少最短のコミニケーションで物事が決定していくのですが・・・・。
実は試行錯誤を繰り返した第一回目の時には総曲輪コレクションにブライダルは有か無か?????という議論を何度かさせていただいたのです。
『なぜ。ファッションショーでブライダルショーがあってはいけないのか?』と思われる方もおられるかもしれません。
これは今のファッションショーの在り方によります。
皆さんは『リアルクローズショー』というスタイルのショーをご存知ですか?
この表現自体はあまり耳にしません。もしかするとファッション業界の方しかご存じないかもしれません。
ではこのファッションショーの名前はどうでしょう?
はい!皆さんご存知ですよね! この東京ガールズコレクションという誰もが知っているファッションショーのテーマが『日本のリアルクローズを世界へ!』なのです。
で、リアルクローズって何?の説明ですが・・・。
一言でいうと『現実性のある服』ということです。
つまりは東京ガールズコレクションなどここ数年たいへんブームになっているフッションショーは有名モデルやタレントやそして時には一般のモデル(最近は人気のアマチュアモデルという人たちもいますね)に『現実性のある服』を着てもらいファッションショーを行うスタイルということなんです。
有名なヨーロッパのブランドのファッションショーなどでは、実際にモデルが着用する服はショー向けに服が作られています。実際にはその服そのものが売られることはなくショーのイメージやテーマをコンセプトに、ショーの後に一般の方が着れるように作りなおされているというのが現状かと思います。
そこで一般に着れるような服でショーをやろうというのがリアルクローズショーの定義でそれが最近イベントとして大うけしている・・・という訳です。
(私専門がブライダルですので専門の方から見ると少し違うとか解釈が大雑把とうつるかもしれませんm(__)m)
そこで先の話でファッションショー(リアルクローズの)にブライダルショーは有か無かという話にいたります。(結婚する場面では)ウエディングドレスは実際に結婚される方が着られる服という意味では現実性のある服(リアルクローズ)ですが普段着る服ではないですよね。週末にパーティーがあるからウエディングドレス着て行こう!!なんて人いないですよね。
そんなことでリアルクローズのファッションショーにブライダルショーは有か無かという話になった訳です。
今年4年目になる総曲輪コレクションは当初のどんなショーを作るのかという議論から毎年回を重ね今はリアルクローズだけでなく着物やブライダルやスポーツファッションなどさまざまなスタイルのファッションショーがしっかり分けられて全体を構成するようになりました。
ですので、ウエディングドレスのブライダルショーはリアルクローズか否かという議論はありません(笑)
なぜこのブログでわざわざそんな話をしたかというと・・・・。
今週に控えているので1つは宣伝です(笑)。
と、言ってもオープンスペース(グランドプラザ)なのでもちろん無料です。たくさんの方に見に来ていただきたいという思いからの宣伝です。
9月22日(木・祝)午後1時~5時まで。
ず~っとフアッションショーやってますので富山県(石川・福井・新潟県の方も)の方はぜひ遊びにお越しください。
リアルクローズのファッションショーが流行っているファッション業界と今のブライダル業界が似ているなぁと感じたのでその話をしたいと思ったのです。(ようやく本題です。前置きとするとすご~く長くなってしまいました!)
何を感じているかというと、今のファッション業界もブライダル業界も『憧れ』が足りない!!!!ということを感じているのです。
ショーで言えばリアルクローズが悪いということでなくリアルクローズが正解で普段着れない洋服をショーで見ても意味がない(不正解)とする考え方が間違っているということを言いたいのです。
リアルクローズショーを説明するコメンテーターがテレビで『普段自分も着れる服をショーで見れるからいい訳で自分が着れないような服を凄いスタイルのモデルが着て颯爽と歩くショーなんて意味がないんです。』と話しているのを見ました。
そしてこの感覚でリアルクローズ(現実性のある服)は服の世界に限らずブライダル業界をはじめ、すべてにおいて“現実性”のあるものだけがよしとされる風潮にあり、そんな中でブライダルも“現実性”だけが重視されるようになってきているように感じたのです。
ブライダル業界の重鎮、ブライダルのデザイナーというと日本では第一人者の方から(名前は誰もが知っています)聞いたお話です。
昔は花嫁さんは家を出る時から花嫁でした。その場合ご本人もたいへんなことがありますが、1)衣裳屋は衣裳を自宅に届ける、2)美容師と着付師は早朝(それもかなり早い時間)自宅に行きヘアメイクと着付をする。とお世話するスタッフもたいへんなエネルギーを使います。ブライダルのプロも結婚する本人も“手間”なのでという理由で家を出る時は普段着で式場に入る新婦様がほとんど、という時代になってしまった。だから近所の子供など(特に女の子)誰も花嫁さんを目にしない。その結果、小さい女の子が将来何になりたいと聞いて『花嫁さん』という子がいなくなった。つまり花嫁さんの憧れがなくなってしまった。花嫁さんとして家を出るという呼びかけをブライダルのプロからする必要がある。というお話です。
もちろん近所の方に見てもらうためだけに自宅で花嫁さんになる・・・訳でありません。
家で花嫁さんになったらご両親にご挨拶するよう着付師さんや美容師さんに進められます。前の晩寝る時でも普段と同じ親子です。朝起きて花嫁さんになった娘の姿で対面する娘と親子というシーンがあることで大きな節目を感じられる方は多いように思います。
つまり“家を花嫁で出る”という行為だけでなく嫁に行くという節目をそれぞれ感じる機会まで省いてしまったとも言えます。
この風潮が先のリアルクローズが正解という角度で語る『自分が着れないような服を凄いスタイルのモデルが着て颯爽と歩くショーなんて意味がない』と重なって聞こえてしまいました。
現実性のみを重視して、(もちろん現実性が悪いとは思いません)それだけが正解とする考え方で物事を進めると、日本人が大切にしてきた精神性(節目を重んじる)や憧れ(将来あんな風になりたいという夢)がなくなってしまうということかもしれません。
もしかすると現代の我々は、外見(ファッション)だけでなく精神までリアルクローズ(現実性のある服)をまとってしまっているとも思います。
ブライダルのプロの一人として、そんな時代だから仕方ないなどとけっして時代のせいにしてはいけない、失った憧れ感や日本人が結婚において大切にしてきた精神性を今一度しっかり伝えていかねば・・・と思うのでした。
あっ!しつこいようですがリアルクローズショーが悪いと言っているのではなくそれだけが正解としてしまうことで失くすものがけっこうあるのでは・・・・というお話です。